冷間圧造用鋼線
Cold Heading Quality Steel Wire冷間圧造用鋼線について
多種多様な冷間圧造用鋼線の製造、自動車用精密部品に特化した冷間鍛造部品の製造を通して得た加工技術やノウハウを活かし、お客様へのご提案、サービスの充実を図っております。
冷間圧造用鋼線の特徴
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提案型の冷間圧造用鋼線設計
長年培ってきた冷間圧造用鋼線製造技術に加え、自社での冷間鍛造で得た知見を織り込んだノウハウを活かし、お客様の用途やご要望に合わせた材質・強度・熱処理条件・皮膜など一品一葉の工程設計を行なうことでお客様の信頼を得ております。
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02
幅広いサイズへの対応
太径伸線機から細径対応ロール伸線機を保有し、φ50 ~φ1 と幅広いサイズレンジの製品対応が可能です。
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03
全長キズ保証への取り組み
過流探傷機(EC) の活用によりインラインでの部分疵取り、疵部マーキング対応が可能。
その他キズ保証についてのご相談に対応いたします。 -
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非りん系潤滑剤「NPC」
高強度ボルトで問題となる遅れ破壊の原因である水素脆性を防ぐために開発された『リン:P』を含まない一液タイプの皮膜です。
皮膜の特徴- 1.「P」を含まない潤滑剤であり、ボンデ皮膜で懸念される高強度ボルトの浸リンによる遅れ破壊への影響がありません。
- 2. 潤滑性能を向上したことにより、現行石灰皮膜で行っているボルト及び部品形状の加工にも問題なく対応でき金型寿命の向上が図れます。
- 3. 皮膜の密着性が良く、冷間加工時の粉塵の低減が図れ、工場内での環境面の向上に貢献します。
- 4. 水溶性皮膜であることから、鍛造潤滑油の汚れ防止により寿命向上が図れます。また、冷間鍛造後の皮膜除去を容易に行うことができ、「調質時での色彩:黒色」「メッキでの色彩・ムラ」の改善が図れます。
取り扱い鋼種
JIS規格 | 冷間圧造用炭素鋼鋼線 | SWCH-R鋼、SWCH-A鋼、SWCH-K鋼 |
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冷間圧造用ポロン鋼鋼線 | SWCHB鋼 | |
冷間圧造用合金鋼線 | SMn鋼、SMnC鋼、SCr鋼、SCM鋼、SNC鋼、SNCM鋼 | |
機械構造用炭素鋼鋼線 | S-C鋼、C-CK鋼 | |
焼入性を保証した構造用鋼線 | SMn-H鋼、SMnC-H鋼、SCr-H鋼、SCM-H鋼、SNCM-H鋼 | |
高炭素クロム軸受鋼鋼線 | SUJ2鋼 | |
高温用合金ボルト鋼線 | SNB鋼 | |
一般構造用圧延鋼鋼線 | SS鋼 | |
みがき棒鋼用一般鋼材 | SGD鋼 | |
AISI規格 | 1016、1018、1022AI、1022SI、1010、1008、1012、1030、1038 | |
AISI規格 | 4037、4137、4140AI、8640SI、AMS6304D、1215、12L14 | |
新規機能(開発材) | 超微細粒鋼 | |
高強度ボルト用鋼 | ||
非調質ボルト用鋼材(強度区分:8~10T) | ||
高強度鋼板タッピンねじ用鋼 | ||
純鉄系軟磁性鋼(ELCH2) | ||
極低炭素非調質鋼(強度区分:8.8T) | ||
和釘用鋼 | ||
工具用(ビット、レンチ)用鋼 |
新機能鋼
取扱鋼種 | 特徴/用途 | 環境 対応 |
高強 度化 |
機能 向上 |
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超微細粒鋼 | 結晶粒度の微細化により900MPa以上の高強度かつ高靭性を実現。 熱処理工程(焼入、焼戻し、ベーキング)の省略が可能。 合金元素無添加の素材使用によるリサイクルでの優位性。 |
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自動車用高強度ボルト、ねじ、家電 情報用ねじ【携帯電話用ねじ実用化】 |
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高強度鋼板 タッピンねじ用鋼 |
「成分設計」、「浸炭熱処理」により、ねじ表面硬度を高く、内部硬度を低くすることで高強度、高靭性を実現。 高強度化により軽量化および耐摩耗性、耐振動性に優れている。 |
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高強度鋼板結合用タッピンねじ【1000MPa鋼板結合のタッピンねじに実用化】 | ||||
高強度ボルト用鋼 | 「成分設計」、「熱処理」により、高強度、高靭性の特徴を持った耐遅れ破壊性に優れたボルト、ねじの実現。 高強度により軽量化および耐摩耗性、耐振動性に優れている。 |
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高強度ボルト、ねじ【1300MPa用ボルト実用化】 | ||||
純鉄系軟磁性鋼 | 磁気特性(浸磁率が高く、保持力が低い)に優れており、機能向上と諸費電力削減が可能。 冷間加工性に優れている。 |
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電子・電磁制御部品 センサー部品、モーター部品【ソレノイド、アクチュエーター部品実用化】 |
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非調質ボルト用鋼 | 強度区分8.8、10T強度を有した非調質ボルト用鋼線。 熱処理(焼入、焼戻し)の省略が可能。 |
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高強度用非調質ボルト【タイロット部品実用化】 | ||||
極低炭素非調質鋼 | 極低炭素鋼を使用し、高強度(強度区分8T以上)を実現。 加工硬化を抑え冷間加工性に優れている。 |
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樹脂用タッピンねじ 難形状部品 |
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和釘用鋼 | 「成分設計」、「冷間圧造用鋼線製造技術」により、古来の和釘と同様の特性を有した現在版和釘を実現 木に優しく(木目に沿った結合)、耐食性に優れている。 |
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和釘、鎹製品 【重要文化材の和釘、鎹実用化】 |
製造工程
伸線、酸洗、熱処理の3つの加工の組み合わせにより、お客様の用途、またご要望の品質(サイズ、形状、硬さ、皮膜など) に合わせた冷間圧造用鋼線の作り込みと、当社で製造した鋼線を使用し冷間鍛造部品までを手掛けます。保有設備を有効に活用し、ネットシェープ部品から冷鍛スラグまでご要望に合った形状の部品をお届けします。
その他事例
和釘を通して文化財保存に貢献
和釘は、砂鉄を木炭で還元する「たたら製鉄」と「大鍛冶」の脱炭工程からなる日本古来の製鉄法でつくられた包丁鉄を釘鍛冶工程で一本一本、鍛冶職人の手打ちで仕上げられます。胴部の形状は四角形であること、錆び難く、鍛接が容易であること、たたら製鉄でつくられた炭素量の少ない「軟鉄」を使用しているため打ち込んだ先に固い節があるとその節を避けるように自ら曲がり、木材を傷めずに締結することができるという特徴があります。和釘は我が国の古代以来の木造建築物に用いられてきた鉄の特徴を最大限に活かした実用品であると言えます。
一般的にこの和釘の特徴を現代の鋼で代替することは難しいと言われるなか、重要文化財である和歌山県・粉河寺大門の保存修理工事において和釘の制作に協力依頼がありました。大門の建立は宝永四年(1707年)と考えられ、当社は建立当初から使用されている和釘の材質調査を重ね、材料の選定、そして製造工程の確立を図り、和釘用の鋼材を提供することで、文化財の保存に貢献することができました。